なぜ地球の北極と南極にS極とN極があるのか?地球は球体磁石なのか?
私たちが日常で使う方位磁針(コンパス)は、必ず北を指します。これは、地球そのものが巨大な磁石になっていて、方位磁針の針がその磁場に引き寄せられるためです。
しかし、地球の磁場について詳しく考えてみると、いくつかの疑問が浮かびます。
「なぜ北極点がS極で、南極点がN極なのか?」
「地球は本当に球体磁石なのか?」
「そもそも地球の磁場はどのように発生しているのか?」
今回は、こうした疑問を掘り下げて考えてみましょう!
① 地球の北極点がS極で、南極点がN極?
方位磁針の針は、北を指しますが、実はこれは「磁北(じほく)」を指しているということに注意が必要です。
磁北とは、「地球の磁場のS極」にあたる場所です。
「えっ、北なのにS極なの?」と違和感を覚えるかもしれませんが、これは磁石の性質によるものです。
磁石はN極とS極が互いに引き合うため、方位磁針のN極(北を指す側)は、地球の「磁場のS極」に引き寄せられるのです。
つまり、
- ・地球の「北極点」は、磁石でいうS極
- ・地球の「南極点」は、磁石でいうN極
ということになります。
ただし、ここでの「北極点」や「南極点」というのは、あくまで地理的な北極・南極であって、地球の「磁極(磁場の極)」とは若干ズレがあります。
実際に、現在の地球の磁極(磁場のS極)は、カナダの北部(地理的な北極点より少しズレた場所)にあり、年々移動していることが知られています。
② 地球は本当に球体磁石なのか?
では、地球そのものが大きな磁石だとすると、それはどうやってできているのでしょうか?
地球がまるで「バー磁石(棒磁石)」のように、南北をN極とS極に分けているのでしょうか?
実は、地球の磁場は普通の磁石とは違う方法で生まれています!
★地球の磁場は「ダイナモ効果」によって生まれる
地球の内部には、**外核(がいかく)**という金属がどろどろに溶けた層があります。
この外核は、主に鉄やニッケルでできていて、ものすごい高温で液体状になっています。
この外核は、地球の自転の影響を受けて常に対流(流れるように動くこと)しています。
さらに、鉄やニッケルは電気を通しやすい金属なので、この対流が発生すると、電流が生じます。
そして、この電流が磁場を作る「ダイナモ効果」によって、地球全体に磁場が発生するのです。
つまり、地球は「磁石のように見えるけど、実際は電流の流れによって磁場を発生させている」わけです!
普通の磁石のようにN極とS極が決まっているわけではなく、地球内部の動きによって生み出されているのです。
③ 地球の磁場は変化し続けている!
地球の磁場は、ダイナモ効果によって生まれるため、ずっと一定ではなく、時間とともに変化します。
実際に、地球の磁極(N極とS極)は、年々移動していることが確認されています。
さらに驚くことに、過去の地球の記録を調べると、何十万年に一度、N極とS極が逆転していることが分かっています!
つまり、今は「北極がS極」ですが、遠い未来には「北極がN極」になる可能性もあるのです。
この磁場の逆転は、地球の歴史の中で何度も起きていて、化石や地層の研究によって明らかになっています。
次に逆転が起こるのはいつか? それはまだ分かりませんが、何千年・何万年というスパンで見れば、いずれ起こるのは確実とされています。
④ まとめ
✅ 地球の磁場がある理由
- 地球内部の外核の金属(鉄・ニッケル)が流れることで電流が発生し、それが磁場を作る(ダイナモ効果)。
- つまり、地球は普通の磁石ではなく、電磁石のようなもの。
✅ なぜ方位磁針は北を指すのか?
- 方位磁針のN極(北を指す針)は、地球の磁場のS極(北極付近)に引き寄せられる。
- だから、「地理的な北極」は、「磁石のS極」にあたる。
✅ 地球の磁場は変化する
- 地球の磁場は、時間とともに移動している(現在の磁極も少しずつ動いている)。
- 数十万年に一度、N極とS極が逆転していることが分かっている。
結論:地球は「電磁石」だった!
私たちの身の回りにある磁石とは違い、地球の磁場はダイナモ効果によって生み出される電磁石のようなものです。
地球は自転し続けているため、その運動エネルギーによって磁場を発生させ続けています。
つまり、地球は「球体磁石」ではなく、「地球全体で作られる電磁場」なのです!
そして、その磁場の変化は、今後も長い時間をかけてゆっくりと変わっていくことになります。
方位磁針の「北」が、未来では「南」になっているかもしれない!?
そんな驚きの可能性があることを考えると、地球の磁場の仕組みって、なんだかロマンがありますよね!