地球を包む見えないバリア! 大気・磁場・電磁層の役割とは?
地球には私たちの目には見えない「層」がいくつも存在しています。
空気の層(大気)、地球の磁場、電磁層(電離層)など、これらがなければ人類はおろか、生物全体が生きていくことすらできません。では、それぞれの層がどのくらいの高さにあって、どんな役割を果たしているのでしょうか?詳しく見ていきましょう!
① 地球を覆う「大気の層」
まず、私たちが日常的に感じる「空気」は、大気という層を形成しています。この大気は高度によって性質が異なり、以下のような層に分かれています。
大気の層 |
高度 | 特徴 |
---|---|---|
対流圏 | 0〜約12km | 雲ができる、気温が高度とともに低下、天気の変化が起こる |
成層圏 | 約12〜50km | オゾン層が存在、紫外線を吸収、ジェット気流が流れる |
中間圏 | 約50〜85km | 気温が再び低下、流れ星が燃え尽きる領域 |
熱圏 | 約85〜600km | 気温が急上昇、オーロラが発生、国際宇宙ステーションの軌道 |
外気圏 | 約600km〜宇宙 | 空気がほぼない、人工衛星が飛ぶ領域 |
★大気の層の役割
- ・酸素の供給:対流圏にある酸素が生命活動を支えている。
- ・紫外線の防御:成層圏のオゾン層が有害な紫外線をブロック。
- ・気候の安定化:風や雲の流れが地球の温度を調節。
- ・隕石の消滅:中間圏で小さな隕石が燃え尽きる。
- ・通信やGPSの維持:熱圏の電離層が電波を反射し、遠距離通信を可能にする。
② 地球を守る「磁場の層」
地球には「磁場」があり、地球全体を包み込んでいます。これは地球の内部にある液体の鉄が流れることで生じる「地球の磁気圏」と呼ばれるものです。
磁場の範囲 | 高度 | 特徴 |
---|---|---|
内帯放射線帯(バン・アレン帯) | 約1,000〜6,000km | 電子や陽子が溜まり、宇宙からの放射線を遮る |
外帯放射線帯(バン・アレン帯) | 約13,000〜60,000km | 太陽風から地球を守る、強力な放射線帯 |
■磁場の役割
- ・宇宙放射線や太陽風からの防御:太陽からの高エネルギー粒子(太陽風)を遮り、生物を有害な放射線から守る。
- ・オーロラの発生:磁場によって地球に引き寄せられた高エネルギー粒子が、大気と衝突して美しい光を放つ(オーロラ現象)。
- ・コンパスが使える:磁場があるからこそ、方角を示すコンパスが機能する。
もし地球に磁場がなかったら、強烈な太陽風に直接さらされ、生命の存在は不可能だったかもしれません。
③ 高高度に存在する「電磁層(電離層)」
電離層は、地球の大気圏のうち熱圏に含まれる特殊な層で、高エネルギーの太陽光(X線や紫外線)によって空気中の分子が電離し、電気を帯びた粒子(プラズマ)が集まる層です。
電離層の範囲 | 高度 | 特徴 |
---|---|---|
D層 | 約60〜90km | 日中のみ存在、長波の電波を吸収 |
E層 | 約90〜120km | 一部のラジオ波を反射 |
F層(F1・F2層) | 約120〜500km | 夜間でも存在、短波の電波を反射し長距離通信を可能にする |
★電離層の役割
- ・電波の反射:地上から発せられた電波が電離層で反射し、遠距離通信(短波放送、アマチュア無線)が可能になる。
- ・宇宙天気の影響を受ける:太陽フレアなどの影響で電離層の状態が変化し、通信障害やGPSの誤作動を引き起こすことがある。
この電離層のおかげで、地球上の通信やナビゲーションシステムがスムーズに機能しているのです。
まとめ
地球を取り巻く大気・磁場・電磁層(電離層)は、生命や文明の存続に欠かせない重要な役割を果たしています。
★大気の層 → 酸素供給・紫外線カット・隕石防御・気候安定
■磁場の層 → 宇宙放射線からの防御・オーロラ発生・コンパス機能
★電磁層(電離層) → 電波の反射・遠距離通信・GPS維持
もしこれらの層がなければ、私たちの地球は太陽風や宇宙放射線にさらされ、通信もままならず、生物の生存すら危ぶまれる環境になってしまうでしょう。
普段意識することは少ないですが、地球には見えない「バリア」がいくつも存在し、私たちを守ってくれているのです!