惑星はなぜ公転し続けられるのか?公転スピードが落ちることはないのか?
私たちが住んでいる地球をはじめ、太陽系の惑星は太陽の周りを公転し続けています。それぞれの惑星は決まった軌道を描きながら、何十億年もの間、太陽の周りを回り続けているのです。しかし、なぜ惑星は公転を続けられるのでしょうか?そして、そのスピードが落ちることはないのでしょうか?
今回は、この「惑星の公転の謎」について考えてみましょう。
① なぜ惑星は公転し続けるのか?
惑星が公転し続ける理由は、大きく2つの力が関係しています。
1. 重力(引力)
惑星が太陽の周りを回っていられるのは、太陽の重力が惑星を引き寄せているからです。
重力がなければ、惑星はまっすぐ宇宙の彼方へ飛んで行ってしまうでしょう。
地球も含め、惑星は常に太陽の引力を受けながら、その周りを回っているのです。
2. 惑星の持つ運動エネルギー(慣性)
惑星は、もともと太陽の周りを回るような横向きのスピード(速度)を持っています。
もし太陽の重力がなければ、惑星はまっすぐ一直線に飛び続けるはずです(ニュートンの第一法則「慣性の法則」)。
しかし、太陽の引力が働いていることで、惑星は太陽に引っ張られつつも、横向きのスピードを保ちながら絶妙なバランスで軌道を描いているのです。
これはちょうど、「ボールを紐でつないでぐるぐる回している状態」と似ています。
ボール(惑星)は外側に飛び出そうとする力を持っていますが、紐(太陽の重力)がそれを引き戻し、結果的に円や楕円を描くような動きになるのです。
② 公転スピードは落ちないのか?
惑星は長い年月の間、公転し続けていますが、そのスピードが落ちることはないのでしょうか?
実は、基本的には落ちません! その理由は以下の通りです。
✅ 1. 宇宙には「摩擦」がない
地球上では、たとえば車が走っていると、道路との摩擦や空気抵抗があるために、スピードを保つにはエンジンの力が必要になります。
しかし、宇宙空間にはほぼ摩擦がないため、惑星はスピードを失うことなく、運動を続けることができます。
つまり、一度公転運動を始めた惑星は、減速する要因がないため、ほぼそのままのスピードを保っているのです。
✅ 2. エネルギーのやりとりがない
惑星の公転エネルギーは、基本的に外部からエネルギーを奪われることがありません。
地球は太陽から光(エネルギー)を受け取っていますが、それが公転速度に影響を与えることはありません。
もし、何かしらの大きな天体が地球の軌道上に接近してきたりすると、重力の影響で公転速度が変わることはありますが、通常の状態では変化しないのです。
③ ただし、公転スピードが変化することもある!
基本的に惑星の公転スピードは変わりませんが、例外もあります。
特に影響を与えるのが、「重力相互作用」です。
1. 他の天体の影響
もし、太陽系の中に超巨大な惑星が誕生したり、通過する星が太陽系に接近したりすれば、その星の引力の影響を受けて、公転スピードが変化する可能性があります。
実際に、木星や土星などの巨大惑星が小惑星の軌道を変えてしまうことは知られています。
2. 軌道が楕円だから
惑星の公転軌道は完全な円ではなく、「楕円」を描いています。
これを発見したのが、ヨハネス・ケプラー(1571-1630)で、彼の「ケプラーの法則」によれば、惑星は太陽に近づくと速くなり、遠ざかると遅くなることが分かっています。
例えば、地球は1月頃(近日点)に公転速度が最も速く、7月頃(遠日点)に最も遅くなります。
3. 未来には公転スピードが変わる?
数十億年後の未来では、太陽が今よりも膨張していきます(赤色巨星化)。
そのとき、太陽の引力が変化し、惑星の公転スピードにも影響を与えるかもしれません。
また、月が地球から少しずつ遠ざかっているように、太陽系の惑星の軌道も、何十億年という時間の中で変化する可能性はあります。
④ まとめ
惑星が公転し続けられるのは、太陽の引力と惑星自身の運動エネルギー(慣性)の絶妙なバランスによるものです。
そして、公転スピードは基本的に変わりませんが、軌道が楕円であることや、他の天体の影響を受けることで若干の変化はあります。
★惑星の公転が続く理由
- ・太陽の引力が惑星を引っ張っている
- ・惑星の運動エネルギーが一定
- ・宇宙空間には摩擦がないため減速しない
公転スピードが変化するケース
- ・惑星が太陽に近づくと速くなり、遠ざかると遅くなる
- ・他の天体の重力の影響を受ける
- ・未来において太陽の変化が影響を与える可能性がある
太陽系の惑星たちは、こうした力のバランスによって何十億年もの間、公転し続けているのです。
それにしても、宇宙の仕組みは本当に精巧にできていますね!